◇11◇ 発表 ~なごり雪~

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   「はい。」  今日は、ローヒールを履いているのに足下がふわふわして線を踏めない。 「ゆっくり、慎重に。」  指示通り歩くがふらつく。 「あっ!!」 「もう、結構ですよ。座りましょう。」  医師に支えられて転ばなかった。 「はい・・・ (なんで?こんな線の上を歩くなんて簡単でしょ、月依。)」  自分の行動に戸惑う。 「いま、歩いていて目眩はありましたか?」 「・・・。」 「若狭さん?」 「はい。」 「歩いていて目眩がありましたか?」  答えたくなかった。 「若狭さん、素直に答えて下さい。」 「あり、ました・・・・・・」 「解りました。では、問診もしましたし検査結果をお伝えします。」 「はい。」  心臓が早鐘のようだった。  》 》  何も要らなかった・・・あなたが居たら。  それくらい想いが強くなっていたのに。あなたの愛を受け入れることが出来る心になったのに。  なんて意地悪な神様。  あなたもそう思っていたでしょう?  いまは、少しだけ落ち着いた。  あなたはどうしているだろう。   
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