◇11◇ 発表 ~なごり雪~

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    逢えない時間が私を蝕んでもあなたに逢わない。  《 《 「皆さん、栄えある受賞作品は。」  心ここにあらずで2人は、発表の会場に居た。挨拶を交わしただけで2人とも何も言わない。 「最優秀作品賞は、村雨 燵夜さんの〝我が家〟です。おめでとうございます!!」  スポットライトが彼に当たる。 「お兄さん!あんただよ。」 「村雨さん。おめでとうございます。ステージにどうぞ。」 「え、あ、はい。」  慌ててステージに向かう。 「村雨さん初めてのコンクールでの受賞ですがどうですか?」 「嬉しいです。支えてくれた方たちにお礼を言いたいと思います。」  その姿をボーッと見つめていた。 「では、絵の話しを訊きましょう。」  インタビューが始まり離れることにした。  キラキラ輝く彼を遠くに感じた。あの騒ぎが一段落したら言わなくてはならない。 『若狭さん。落ち着いて訊いて下さい。』 『はい。』 『脳幹と言う所に腫瘍があります。手術をする方法はありますが恐らく上手くはいかないでしょう。今後のことを話し合いをしましょう。』    
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