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世界が崩れる音がした。
まさか、そんな病になっていようとは思いもしなかった。
治療は絶望的だと訊かされた。
病院で最期を迎えることになる。
彼に愛を誓ったが別れなくては・・・・・・決心が鈍らないうちに。
キラキラと輝くのはカメラだろう。嫌な記憶が一気に押し寄せる。
「(離れなきゃ・・・。)」
フラフラと会場を出ると思いもよらない人と鉢合わせた。
「これはこれは、月依さん。」
「千明社長・・・どうしてこちらに。」
「息子の受賞を祝いにね。」
不適な笑み。
「そう、ですか。これで彼は、画家の仲間入りです。」
「いいや、これであの子はこの夢に区切りを付けて我が家に帰って来るんだよ。」
「何言ってるんです?やっと自力で夢を掴んだんです。手放したりなんてしません。私も支えて行きます。」
ハッキリ言ってこの口答えは、〝戦線布告〟だった。
病気のことを悟られて彼の夢の道を握り潰されない為には、これくらいの啖呵を切らないといけなかった。
「お前を支えると言っているがそれでいいのか?お前の口で話してあげなさい。」
「え・・・?」
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