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「月依さん・・・話しが、あるんだ。」
振り向くと疲れた顔をして彼が立っていた。
「どうしたの?」
嫌な予感が脳裏に過ぎる。
「俺、画家にはならない。」
世界が崩れる音が止まらない。
「どう、言うこと?」
「俺、家に帰ることにした。月依さん・・・知ってたんでしょ俺が千明の1人息子だって。」
「知って、た・・・よ。でも、夢を追い駆ける達也くんが眩しくて私を真っ直ぐ想ってくれるその姿が好きであなたを帰さないって答えたんだよ。」
「うん、ありがとう。でもやっぱり帰らなくちゃ・・・。」
「どうして?」
「会社には、たくさんの月依さんみたな一生懸命仕事してる人が居てその人たちには家族が居てそれを裏切れない。」
「だからってやりたくもない仕事をするの?」
「ごめんね。俺、月依さんのこと好きだよ。でも、さよならして。」
思わぬ話しに頭痛が増す。
「燵夜くん。私は、応援してる。違う道がきっとあるから。会社も自分の夢もいい方向に向かう道があるから探してみてね。」
「ありがとう。俺を棄てて。」
どこかで訊いたセリフ。
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