◇11◇ 発表 ~なごり雪~

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     春だというのにチラチラと白いモノが舞う。 「今までありがとう、楽しかった。」 「うん、俺も凄く楽しくて・・・倖せだったよ。」  視界を遮るような雪。 「燵夜くん・・・私夢を追わない父親の言いなりの君を棄てます。」 「うん。さようなら・・・若狭さん。」 「さようなら・・・千明くん。」  雪が2人の表情を隠していく。 「来なさい。」  父親の呼ばれて歩き自分の横を無言で通り過ぎていく。  冷たい車のドアの音が世界を閉ざし走り去る音が世界を壊した。  周りでは、なごり雪に歓声が上がっていた。  状況を整理したいのに激しい頭痛が邪魔をする。 「燵夜くん・・・・・・。」  胸の苦しさと頭痛の激しさで意識を手放した。  》 》  独りになる否、独りで居る宿命だったのだ。  誰かの傍に居ても私は、独り。  その想いが私を支配した。  消えてしまおうと思った。  だから寂しくなんかない。そう、言った。  いまでは、本当に独りになることは出来ないと解っている。  私は、いまでも誰かの手助けがないと立っていられない。  親しい人が居なくても平気ではある。    
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