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「お願いします。」
エントランスで大家さんにもう1度挨拶して部屋に向かう。
部屋は、寂しくなってしまった。これからもっと物がなくなりガランとしてしまう。
》 》
悲しくも私は、去って行くしかない。
今さら同情の“愛”では、満足出来ない。
この渇望は満たされない。
求める“愛”を手に入れるには・・・もう、遅い。
《 《
春めいた気候が麗らかな天気を連れていたある日ケジメの訪問をした。
「あら・・・ご姉妹ですか?」
病室のベッドにやって来た看護師に声を掛けられた。
「似てますか?」
「ええ、目元とか・・・」
「そうですか。」
「“お姉ちゃんに逢いたい”って言ってたので喜ぶと思います。」
笑顔の美しい看護師が去って行く。
妹の健やかな寝顔を横にして読書にふけった。大きくなったお腹では、命が生きている不思議を感じていた。
穏やかな時間が流れていた。
「お姉ちゃん・・・?」
目当ての相手から呼ばれたのはかれこれ病室に来てから2時間が過ぎた頃だった。
「やっとお目覚めね。あなたが呼んだのよ。」
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