◆12◆ 終わりのハジマリ

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   「気をつけて。」  医師と看護師に挨拶して部屋を出た。  外は、綺麗な夕暮れだった。立ち止まり見上げた。 「若狭さん。」 「はい?」 「アパート、決まっているのよね?」  看護師が不思議な心配をしてくれた。 「はい。独身者用の公営住宅に入ります。」  病気のことを考え町の公営住宅に新居を構えた。 「送りましょうか?」 「いいえ。歩いて帰れます。」 「そう。気をつけてね。」 「ありがとうございます。さようなら。」  頭を下げて家路に着く。  歩いて帰るのは、体力作り。そしてその日をあっさり迎えたいから。 「若狭 月依さんかしら?」 「はい・・・。」  部屋に着くと見知らぬ年配の女性が居た。 「私、保健師の広瀬です。病気のこととか色々訊いておきたくて、いいかしら?」 「ええ、どうぞ。」  荷ほどきもしていない部屋に上げる。 「引っ越しで忙しいのにごめんなさいね。」 「いいえ、構いません。」 「病気が進行したら入院するのかしら?」 「いいえ、ここに居ます。町が嫌ならやめますが。」   
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