◆12◆ 終わりのハジマリ

9/10
前へ
/40ページ
次へ
   「嫌ではないのだけれど・・・それでいいの?」 「はい、病院で死にたくないんです。ご迷惑おかけします。」 「いいえ。私があなたの様子を見に来ても構わない?」 「はい。仕事もしないので暇してますから、来て下さい。」  笑顔を向けて答えた。  保健師は、安心した表情で帰って行った。  》 》  寂しさなどどこかに消えてしまった。  第2の別れが私の感情を崩したのだ。  独りで目覚め誰にも逢わず1日が過ぎても死への準備だと何も辛くも寂しくもない。  探されることもないと・・・思っていたの。  《 《 「若狭さん、すぐにお薬入れますからね!」 「ん・・・。」  病魔の進行は著しかった。  引っ越しをしてから経った3週間ほどで緊急搬送されることが多くなっていた。  町の小さな病院で点滴処置をしてもらい帰る。そんなことが多くなり医師からは、元の病院へ戻るようにしつこく言われていた。 「緩和ケアは、病院でも出来る。戻りなさい。」 「さじを投げるのですか?」 「そう思われても構わない。穏やかな最期を迎えて欲しい。」 「次、倒れたらそっちに搬送して下さい。」   
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

109人が本棚に入れています
本棚に追加