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「わ 怨!!」
犬のような咆哮が夜の街に響き渡る。
「わ 怨!!」闊歩するはいびつな怪物。
歪んだ顔、異常に発達した口、細長い手足、突き出た腹。
怪物が咆哮する度に、周囲の物が粉砕される。
「妖怪『わおん』ってとこかな…元々は大声で叫ぶだけの妖怪なんだけどね」
その怪物ーわおんをビルから見下ろすのは、白髪の少女。セーラー服に小柄な体…見た目は中学生ほどだが、額から生える2本の角が少女の特異性を主張していた。
「なんにせよ…アレを使役する主人がろくでもないやつなのは間違いない」
「…本当にやるの?」その少女の背後には、小柄な少年が不安そうに立っていた。
「…問題ないよ。所詮は低級妖怪…まあ見てッ!!」
「わ怨!!」
怪物の咆哮と共に、少女が立っていたビルの縁が粉々に破壊される。
跳躍、夜の街の空に少女の姿が舞った。
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