少しずつ縮まる距離、そして予感

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 時計の針は午前2時を過ぎていた。ビールを飲みほしたら、この快い疲れで起きられない気がする。 「年下に心配してもらうようなことじゃないわよ」  意地を張るように言うと、一哉くんが呆れたような顔しながら体を起こした。思わず後じさりしようとした私の腕を素早くつかんで、一哉くんは私のビールを奪いとる。 「残り、オレもらう」 「あ、ちょっと」  そのまま喉を鳴らしながら、残り少なかったビールを一気に飲み干して、一哉くんがにやりと笑う。 「もう、自分のあるでしょ!」  抗議の声をあげると、一哉くんは自分のビール缶の残りをあおる。子どもじみてる。そう思った瞬間、すごい力で引き寄せられてベッドに引きずりこまれる。 「ちょ、あぶな……!」  バランスを崩してベッドに倒れこんだ私に、一哉くんは唇を重ねて口移しにビールを流しこむ。ぬるくなって炭酸も弱くなったビールが無理やり喉の奥を流れていく。 「欲しいならもっとあげよっか?」  私の唇の端からこぼれた一筋のビールを舌先で舐めとって、一哉くんが甘く耳元で囁く。まだ冷めきらない女の本能を刺激されて、細胞が沸騰しそうになった。 「信じらんない……!」  なんていう18歳だ。  あまりのエロさに真っ赤になって口元を拭いながら、ベッドの端に避難するように慌てて身を引く。 「なんでそんなに女慣れしてんのよ……!」  悲鳴まじりでなじると、何事もなかったような顔で一哉くんは再びスコアに向き直る。 「不自由してねーもん」  そりゃそうだろうと胸の中で突っこみながら、ベッドの一哉くんの隣に少し間をあけて入る。ふと手に柔らかい布が触れる。毛布でもシーツでもない肌触りに持ち上げて一哉くんのボクサーパンツだと気づく。 「一哉くん、下! 下履いてっ!!」  さきほどまで抱き合っていたとしても、ノーパンでベッドにいられたら煽られそうで怖い。うるさそうに振り返った一哉くんのキレイな顔に押し付ける。 「わ、っぷ。なんだよ、ノーパンの方が気持ちいいんだよ」 「あのね! 私がいるでしょ、私が! 親しい仲にも礼儀ありよ!」 「ええ? さっきまで涼さんもノーパンじゃん」 「あ、の、ね、え。さっきはだって、だって…」 「だって?」  いたずらっ子の目になっている。 「し、してたんだから仕方ないし、今はもう」 「あれ、まだ足りない? もっかいする?」 「!! おやすみ!」
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