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「ぶっひゃっひゃっひゃっひゃっ!ダサ!何?詠唱て?詠唱て!燃え上がれ!俺の内なる炎よ!ファイヤーウォール!的な!なかなか熱いこと言いますね。火だけに。やかましいわ!」 ここぞとばかりに言い返しておいた。 あまり大人をナメるんじゃない。 それにしても、こんな恥ずかしい台詞言わないと魔術使えないなら俺使わなくていーわー。 ん?心なしか詠唱っぽいものが聞こえる。 顔を上げるとエミリアはこちらに手をかざし何かを唱えていた。 これが詠唱と言うものなのだろう。 「いや、ちょっと待て!」 ----火の玉<ファイヤーボール>! 終わった。僕は目を瞑り今までのことを振り替える。家族に売られて、クソガキには罵られ、あげく馬車の中で焼死だなんて。 なんてつまらない人生だったのだろう。 まぁ、最期にあれだけ笑えたから良しとしよう。 熱くもなかったので死ぬ時はこんなものかと思い、目を開けてみるとエミリアは窓の外を見ていた。 あれ、生きてる。俺、生きてるよ! 「あの、エミリアさん?」 「外の様子がおかしい」 確かに、いつのまにか馬車は停まっているようだった。 俺も外の様子を確かめようと窓に近付こうとしたが、エミリアに臭いから近付かないでと言われたので大人しく座っていることにした。 そして俺はまた目を瞑る。 涙が零れないように。 ---- 火の玉<ファイヤーボール>! それは外から聞こえてきたものだった。 車両に当たったのだろう衝撃が走る。 木製である車両からは煙が上がる。 結果、焼死ですね。って、言ってる場合か!? 「おい!エミリア!外に出るぞ!」 車両内を見渡すがエミリアは既に外へと出たようだ。 幸い火の手は上がらなかったから、ゆっくりと外へと向かう。
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