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外に出俺が見たものは、馬車の周りを囲んでいる屈強な男たちだった。
所謂、山賊と言う者たちなのだろう。
10人から20人といったところか。
俺は男たちに注意しつつ、剣を片手に構え山賊を牽制している男と同じくレイピアの柄に手を掛けているエミリアに近づく。
「君も無事だったか?」
「なんだ出てきたの?」
こいつはどれだけ俺を燃やしたかったのだろう。
エミリアを無視して男に話し掛ける。
「相手の目的は?やっぱり金銭目的ですか?さっさと金渡して逃がしてもらいましょう!」
「いや、それが...
「さっさとそいつらを渡してもらおうか!」
「そういうことなんだよ」
男は困ったようにエミリアを見つめる。
誘拐目的?そういえばエミリアはどこぞの令嬢だとか言ってたな。
身代金目的で誘拐とかどれだけ良いとこのお嬢さんだよ。
しかし、そうなれば、選択肢は2つか。
エミリアを渡して逃がしてもらうか、戦うか。
前者は俺も山賊たちにも都合が良いのだがエミリアが納得しないだろう。
どうにか説得できないものか。
後者は...、ありえない。
相手は色々な武器を所持している。
こっちは二人とも武器を持っているが、俺には武器がない。
武器と言えるものと言ったら妹から貰った修学旅行のお土産の木刀がある。
だがしかし、俺は知っている。
なぜ、この木刀が赤い色をしているのかを。
これは妹が修学旅行で行った東洋に伝わる漆塗りだろう。そしてこの漆塗りは乾いていない。
どういう原理かは分からないが、木刀の周りの湿度が下げられ続けているのだ。
不思議なことに漆というのは湿度が高い方が乾燥するということを俺は知っている。
乾いてない漆がどのような効果をもたらすのかも知っている。
なぜ、このようなものをお守りとして渡してきたのかは分からないが。
全く想像もつかないが。
そしてこの場を打開する策も思い付かない。
俺の使える魔法には殺傷能力はない。
魔法?
そうだ。
こっちには魔法、魔術を使える少女がいるじゃないか。
魔法少女がいるじゃないか。
俺は期待を込めた視線をエミリアに向ける。
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