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「あんた何をやってんのよ?」 裏切ろうとしてました!なんて言える訳もなく 「いや、相手の魔法使いが誰なのか調べられるかと思ってね」 と、それらしいことを言っておいた。 「確かに、アロハにしては考えてるじゃない。ダサい格好だけど」 ダサいって言われた事が悔しかったんだね。 貶してるけど声が震えているところが可愛いぞ。 「でも最初の2発以来撃ってこないわね。貴方は向こうの魔法使いを見たの?」 彼女は男に尋ねた。 男は冷や汗をかきながら視線だけをこちらに向けると 「すまない、あれは僕の魔術だ」 お前かよ。 男曰く、1発目は威嚇射撃、2発目は暴発したらしい。 不幸中の幸いか、山賊たちはその暴発を見たせいで魔術に対しての警戒心が強まっているのかも知れない。 これはチャンスだ。 「俺が道をつくるのであなたたちは馬車から馬を外してそれに乗って逃げて下さい。」 俺は山賊に聞かれないよう小声で二人に話す。 「君を置いていくことなんてできない!」 男も小声だけど力強く否定した。 「俺は大丈夫です。必ず後から追い付きますから。信じてください」 「何か考えがあるんだね?」 俺は無言で頷く。 少しの間、男は思案を巡らせたが他に案が出るわけでもなく俺の意見が通ることとなった。
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