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俺は魔法使いだ。 魔法が使える。 そして剣術道場で無敗だった理由でもある。 目に魔力を流す。 すると相手の動きが遅くなる。 実際に遅くなっているわけではない。 情報を取り入れる速度を上げて自分の目には遅くなったように見えているだけだ。 3秒。 俺がこの魔法を使える時間だ。 この魔法のおかげで俺は剣術道場で無敗たりえたのだ。 3秒間で相手の動きを見てから行動に移す。 最小限の動きで相手の攻撃を避け殴り付ける。 そのまま追い討ちと相手を蹴り飛ばす。 「お前たちの攻撃は当たらない。無駄な争いはしたくないんだ。大人しく引いてくれ」 山賊たちは武器を構えたままこちらを睨み続ける。 引く気はなしか。 この魔法は連続して使えない。 一回使っただけですごいドライアイだ。 それに一斉に来られたら対処もできない。 やっべ!俺、終わってね? 「今のは魔法か?」 1人の山賊が話掛けてくる。 「あぁ、この魔法はお前らの動きを全て把握する。」 山賊たちに動揺が走る。 言ってる俺も動揺してるけど。 「お前たちがどう動こうと俺には全て分かるのだ」 またしても動揺が走る。 言ってることは同じだけどな! そう話しながら森の方へと歩き出す。 山賊たちは警戒してくれてるようで仕掛けてこない。 そして山道から森へと着いた瞬間、俺は身近な草や木に片っ端から火を放ち森の中へと走り出したのだ。 後ろからは、追えとか、火を消せとか、聞こえてくるが、振り返ることもせずに走り続けた。 何時間走り続けただろう、いや、何分だな。 そんなに体力ないわ。 後ろを振り返ると追っ手は来ていないようだったが、後ろの森は燃え続けていた。 山火事だった。 なんだかんだで俺は山賊からも軍からも逃げることに成功したので良しとしよう。
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