1-2

5/14
前へ
/115ページ
次へ
「ぐ、偶然ですとも。それよりも服を着ていただけませんか?」 間近で見る彼女は、彼女の体はすごく美しかった。 そして、ここで紳士的な対応をしておけば見逃してもらえるのではないかと断腸の思いで服を着ることを提案した。 「あら、意外とウブなのね。それじゃ、服を着てくるからその後、続きをしましょう。」 続きをするなら服は着ないでくれ! 「それとあんたも鼻血拭いた方が良いよ。」 くそ、連続して目に魔力を流した後遺症か? こんな状態でどう闘えというんだ! 走って逃げるか? この人の速さじゃ、すぐ追い付かれてしまう。 あれは魔法なのか? 「さっきのは魔法か?」 何か考えが浮かばないかと思い、時間稼ぎも兼ねて質問してみた。 「そうよ。あたいは風の魔法が得意だからね。風で体を飛ばしてるのさ。」 意外にも答えてくれた。 これは一合交えたから仲良くしよう的な展開に 「あんたは火の魔法が得意なんだろ?お互い楽しもうじゃない。」 ならなかった。 「後悔しますよ。」 俺が。 「それじゃ、再開と行こうか!」 女性は先程と同じように速度を上げて突っ込んでくる。 まさしくそれは低空飛行しているようだった。 この人は空飛べるんじゃないか? そんなことを考えていたら避ける時間がなくなってしまった。 これは死ぬ。 俺は最後くらいは女性に抱きついても良いのではないかと思い、ナイフを振りきられる前に体を前に出す。 交差する瞬間、彼女の体は右へ移動してしまった。 彼女は右に移動した後、ナイフで斬り掛かってきたのだが、そのときには俺は前に出ていたため空振ってしまった。 更には抱きつく為に木刀が邪魔だと思ったので後ろへ投げ捨てようとしたらナイフに当たり彼女の手から離れていった。 俺は咄嗟にナイフを遠くに蹴り飛ばし、木刀を持ち直し彼女に突き付ける。 「惜しかったな…」 本当に。あと少しで触れたのに…。 死ぬのなら腹上死と決めていたのに! 「随分と余裕ね。確かにフェイント入れたのに避けられるなんてね。でも、まだこれからだよ!」 彼女の右手首のブレスレットが光ると、そこには先程、蹴り飛ばしたはずのナイフが握られており俺の木刀を弾く。 追撃を防ぐため火と風を起こして二人の間に壁を作り距離をとる。
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加