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何が起きた? ナイフは遠くに飛ばしたはずだ。 「それがあなたの魔武器の能力か?」 俺は山賊との会話に出てきた魔武器なる単語を発してみる。 「その通りよ。このブレスレットとナイフに付いている魔石同士が反応してナイフを手元に戻してくれるのよ。」 正解だった。そして親切にも能力を教えてくれた。 優しい人だ。 こんな状況じゃなければ告白して結婚まで持っていけたはずなのに。 「あんたのそれも魔武器なんでしょ?どんな能力なんだい?」 「この武器の能力は使わない」 っていうより、使えない。 「それは、面白い!絶対抜かせてみせるよ!」 別の意味ならすぐ抜きます! 彼女は先程と同じように速度を上げて迫ってくる。 それを木刀で防ぎ、反撃しようとしたところで離れられてしまう。 そしてこちらが魔法を放つ前に特攻。 カウンターを試みるが相手は右へ左へと急な方向転換を行うためなかなか当たらない。 その度に揺れるものだから、自ずと目に魔力が流れてしまう。 そのおかげで致命傷は避けられているのだが。 右に揺れる。 左に揺れる。 はたまた上下に揺れる。 なんだこの立体起動は!? いい感じに揺れる胸を見て、俺はあることに気付いた。 それは最初の一撃で俺は殺されていて、天国という名のおっぱいの国に連れられて来たのではないだろうか。 相手のナイフが頬を掠め、一気に現実に引き戻される。 ちょー痛い。 髭剃りなんて非にならない。 このままではジリ貧だ。 限界が近い。 というか限界だ。 目は霞んでくるし、なによりも…
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