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『俺は充分楽しめたよ』 何故か俺のあの一言は完全勝利宣言に囚われたらしく、彼女は降参してくれた。 そして 「合格だ」 と言って、そして更にはついてくるように言ってきた。 一瞬、なんて大胆な人だと思ったが身を翻し歩いていったので俺の脳内の変換ミスだと悟った。 着いていかずに逃げ出そうとも思ったが、次は殺されかねないので着いていくことにした。 数分歩いていくと、そこには普通に村があった。 そして一緒に歩いてきた山賊たちは数人別々の道へと向かっていった。 去るときに、お疲れ様ですとか、また明日とか言っていた。 ここは山賊の村か? 堂々とし過ぎじゃね? なんて事を思いながら周りを見渡していたら後ろを歩いていた山賊に 「さっさと歩け」 と肩を押されてしまった。 そしてそいつは俺が最初に殴り飛ばした奴だった。 気まず! 大人しく彼女に着いていった。 さっきまでは水浴び後だったので下ろしていた髪を今は後ろで1つのお団子にしていた。 うむ、可愛い。 俺、山賊になろうかな。 「着いた。入っておいで」 なんて大胆な子だ。 出会った初日で家に上がらせるなんて。 俺、オオカミになっちゃうぞ! なんて、思うこともできなかった。 なぜなら後ろから屈強な男たちも着いてきたからだ。 そこはバーみたいな作りだった。 カウンターがありテーブルがある。 「コーヒーで良いかい?っても、あとはお酒しかないけどな!」 部屋に入り、適当に座っててと言われてテーブル席に座るともれなく山賊たちも着いてきそうだったのでカウンター席に腰を下ろした俺に彼女は尋ねてくる。 「ビールで」 つい答えてしまった。 最近、訳の分からない日が続いていたので正直、飲まなくてはやってられなかったのだ。 彼女は驚いた顔を見せたものの 「あんた、いける口かい?腕っぷしも強いし、良い男だね!」 と、満面の笑みで返してくれた。 モテ期か?モテ期なのか? ものすごく嬉しいのだけども何故か席は空いてるのに左右に腰掛けた山賊たちからの無言の圧力が凄い。 俺はビールを受けとると一気に飲み干す。 もう知ったこっちゃない。
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