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翌朝、頭の痛みで起きた俺は周りを見渡すと山賊、ではないか。 山賊まがいの者たちが横たわっていた。 どうやら、やけ酒をしてしまったらしい。 二日酔いが酷いが、ここを抜け出すチャンスなので出口に向かって歩き出す。 「どこ行くんですか?」 後ろを振り返ると昨日殴り飛ばした男が立っていた。 「用を足そうかと思って」 咄嗟に嘘を吐く。 「トイレならこっちですぜ。兄貴!」 案内された。 そして兄貴と呼ばれた。 俺は便座へ座り考える。 昨日何した俺?はわわ。 戦う。 火事を起こす。 神秘に出会う。 戦う。 神秘を経験する。 失恋。 やけ酒。 ダメだ。 飲み始めてから覚えてねぇ。 でも、待てよ。 兄貴と呼ばれてるってことは少なくとも敵対視はされてないのではないか? このまま 『おーう、昨日は楽しかったな!また来るよ!』 『あ!兄貴!お疲れ様です!』 いけるな。 よし!俺はトイレから出て早速実行しようとする。 「あ!兄貴!頭(かしら)がコーヒーを煎れてるんで座って待ってて下さい!」 先制を取られた。 頭って、誰だよ? 「あれだけ飲んでたのに意外と起きるの早かったんだな!」 宿敵に声を掛けられる。 お前が頭か! 頭は何故か頭に包帯を巻いていた。 「頭、おはようございます」 すごい不機嫌になったが、一応、挨拶はする。 「昨日は飲み過ぎたからな!気分は良さそうじゃないな!それに頭なんてよせ!お前とは義兄弟の盃を交わした仲じゃないか!ジエンと呼び捨てにしてくれ!」 と、笑いながら話してきた。 気分が悪いのはお前のせいだけどな。 それよりもなんてことだ。 義兄弟て。 俺がなりたかったのは違う意味での兄弟だ! 「でも、最後まで俺と飲み比べに付き合えたのはお前が初めてだぞ」 気分どころじゃなくて体調も悪いのはお前のせいか!? いや、勝手に失恋して、やけ酒に走ったのは俺か。 自業自得だな。 「昨日は飲みたい気分だったもので」 と、当たり障りなく返す。 「ほら、コーヒーだ。二日酔いにも効くぞ」 俺はコーヒーを受け取り少し口に含む。 確かに少しは頭痛が和らいだ。 あー、苦ぇ。
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