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朝食を終えて、出掛けようとしたが親父に見送りくらいしてくれと気味の悪い笑顔でせがまれたので残ることにした。
妹が木刀を素振りしていたが関係はない。
日課なのだろう。
練習熱心だが、室内で振り回すのは褒められたことではないな。
旅立つのが昼からということなので二度寝でもしようかと部屋へ戻ったが、何故か妹が付いてきた。
二度寝すらさせないつもりなのか?
妹は俺の部屋に入るなり箪笥を開け、服を引っ張りだして、服を選んでいた。
俺はベットに座りその光景を見続ける。
ダメだ。
俺にはこの子が何をしたいのかが分からない。
宝物は俺が座っているベットの下だぞ。
俺は改めて目の前の妹を見た。
兄から見ても整った顔立ちをしていると思う。
幼い顔立ちではあるが将来には期待できるだろう。
中学生になっても背は伸びず、長い髪の毛も左右に縛っているため、余計に小学生に間違われることもしばしばあるが、中身は違う。
どう違うのかと問われると返答に困るがとにかく違うのだ。
中学に入るまでは俺の後ろを着いて歩いてくるような姿通りの性格だったのだが、俺が通っていた剣術道場に妹も通い出してから変わってしまった。
俺に対しての扱いが変わったのだ。
剣術道場では俺は負けなしであったので幻滅されたというわけではないと思っているのだが。
そんな事を考えていたら、妹は選び終えたのか、服を俺の前に置き無言で部屋を出ていく。
着替えろということなのか?
アロハシャツとジーパン、そして丁寧にベルトまで選んでくれたようだ。
俺は旅行に行かないのにアロハシャツを選ぶあたり、留守番する俺に対して気分だけでも楽しませようという妹の心遣いなのだろう。
いや、確実に嫌がらせだな。
そして妹よ、出したのなら片付けろよ。
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