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そして気が付いたら朝だった。 どうやら馬車での移動で思いのほか疲れていたらしい。馬車の中で寝ていたのにも関わらず夜中爆睡してしまった。 それもズボンも履かずに...。 相当、疲れていたようだ。 それどころか男に起こされ、そのまま馬車へと連行されてしまった。 ズボンを履いていなかったことには何も触れてはこなかった。 山道を走るためだろう、馬車を牽く馬の数が三頭となっていた。 この旅路が旅行とかなら感謝の気持ちも湧いてくるのだろうが、今の状況で見ても憎たらしくて仕方がなかった。 いや、馬は悪くないか。 そう思い、馬の頭を撫でようとしたが思い切り頭を齧られた。 変わったスキンシップをする馬だ。 御者に迂回路を指示するために男が助手席に座ることとなった。 走り始めた馬車の中に二人残された俺は気まずさから逃げるために、寝たフリでも決め込もうかと思ったが女から声を掛けられた。 「アロハはなんで軍に志願したの?」 アロハとは俺のことか? まぁ、俺以外見当たらないが。 どうやらこの子は自ら志願したらしい。 ここは自分の株をあげるとしよう。 国の為とか家族の為だとか嘘を吐いて自分も自ら志願したことにしたのだ。 「ふーん」 え?なにこの子?聞いといて、この対応? 結構良いこと言ったよ? 「お前はなんで志願したんだよ?」 「はぁ?アロハには関係ないでしょ?それとお前はやめて。あと、気安く話し掛けないで」 もし神様がいるのなら時間を戻してくれ。 この女に対して佳麗だとか考えていた俺を殺してあげなきゃ。 「...エミリアよ」 「何が?」 「名前よ。名前。それくらい分かるでしょ?」 お、おう。ここにきての自己紹介か。 まぁ、昨日も自己紹介をしたのだが改めて名乗ることにしよう。 「俺の名前は 「アロハの名前なんか興味ないわ。それに昨日聞いたわよ。なんか凄いダサい名前だったわね。覚えてないけど」 なぜこの子は俺の心を折りに掛かってるのだろうか。
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