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「慈悲深い薄雲なので、八雲殿の分も残しておく事の出来る器の大きな良い女性でございましょう」
座っていた店先の椅子から”ヒョッ”っと立ち上がりながらそう言う。何故か薄雲は自信満々だった。
ちなみに言い終わった後、有る筈もない胸を突きだし”どうだ参ったか”と言う風な表情であった。
まぁお金は結局自分で払うんだろうと思うと、何故か腑に落ちない気もしたがお礼を簡単に言うと一口で団子をを平らげた。
「心がこもってませんね、もう一度やりなおして下さいまし」
「御団子一個、どうもアーリーガートーウーゴーザーイーマーシーター」
嫌々であった。すぐに謝る侍とすぐに怒り謝らせる女の子の図は辺りから浮いていた。
そんな事をしていると、店奥より異様な雰囲気の男がゆらりと陽炎の如く実体のない様な、揺らぎの足運びで店先に現れた。
「おぬし…………………」
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