第1章

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夕飯は3人でまた、お~!っと声を上げてしまった。 艶やかで貼りのあるお刺身、凛とした姿でカラッと揚げられた天ぷら、ふっくらなご飯、甘くてすっきりした日本酒。3人で酔いしれた。 「ほんともう極楽って感じね」 優しい声で母さんが話す。 「友達にお土産話するの楽しみだわ、ゆうちゃんからのプレゼントってのも大きいわね」 「そんな、こんなぐらいで」 「そんなことないわよ、ゆうちゃんから私たち2人のためにしてくれたことは最高のプレゼントよ」 「そっか」 照れ臭かったが、素直に嬉しかった。 「佑介、また3人で旅行するときはこんな豪華でなくても大丈夫だからな、まあ行けるならここがいいが」 「もうお父さんたら」 「はは、わかった。がんばってみるよ」 「今度は4人か5人でいきたいわね」 「え?どういうこと?」 「もちろん、ゆうちゃんの将来の奥さんと子供でしょ」 「あ~、良いなそれは、父さんもお願いしとくかな」 「そんな事言われてもな~」 「期待しているからね」 「そっか、うん、じゃあ期待してて」 「すごい美人を連れてきたらどうするかな~、あの小さい子を連れていた母親みたいな、まあ嬉しいがな」 「なんだよそれ」 「お父さん」 「おいおいこわいぞ、母さん」 3人で笑い合った。 こういうふうに誰かと楽しみを分かち合ったり、それに喜んだりすることは久しぶりだった。 両親を実家まで送り家路につく。 3DKの部屋をみわたす。 「ふー、まずは身の回りを整理しますか、その後は、引っ越しだな、3DKはひろすぎる。・・・それから、100000000円の見直しだな。俺には多すぎる」 そう呟いて、何だか気持ちが軽くなり、不思議な感覚に笑ってしまった。 明日からは何だか楽しそうな日々を過ごせそうな気がする。
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