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「あのねっ!!今だから言うけど、夏恋…美琴ちゃんに話しかけたのって、学校で可愛くて有名な美琴ちゃんと仲良くなれれば、人気者になれると思ったからなの!!」
「うん。何となく、分かってた。私も、言うね。正直、馴れ馴れしくてうっとおしかったよ?それに、夏恋のこと見下していた。結構可愛いけど、私ほどじゃないなって。」
「えーっ!!美琴ちゃん、ひどい…!!」
「それはお互い様でしょ?」
「そう…だね!!」
二人で顔を見合わせて笑う。穏やかな気持ちになった。
身体は少しだけ成長して、お互い環境が変わったけど。
夏恋にも、裏切られた時もあったけど。
今この瞬間だけは、親友だった二人が、戻ってきている。
そう、確信した。
「だけど…」
「…うん。」
私がぽつりと洩らした言葉に、夏恋が目を閉じて頷く。
何を言うのか、伝わっていたらしい。
「いつの間にか、ほんとの親友になってたよね!!計算とかじゃなくて、心から楽しいって思えてた。」
「そうだね。きっと、夏恋以上にいい親友なんてできないと思う。」
「っ…夏恋も!!あれから、中学が離れて、色んなお友達できたけど…なんか、違って…あの頃に…戻り…たいなって…思っ…」
いつの間にか、夏恋の目から大粒の涙がこぼれだしてきた。
泣くはずじゃなかったのだろう。慌て涙を拭いながら、唇を噛みしめ、泣きじゃくっている。
胸の真ん中が、じんと熱くなる。何故だろう。いくら自分の性格が悪かったとはいえ、親友にあんな別れ方をされたことはショックで仕方なかったはずなのに。
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