運命の手紙

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まだ肌寒い日が続く二月の朝、白凪弥生は白い息を吐きながら家を出た。 まだ登校時間には早く、周りには制服を着た生徒は見当たらない。 弥生が曲がり角を曲がると、前方に男子の制服を着た生徒が歩いている。 肩に竹刀袋を掛けているその後ろ姿に、弥生は見覚えががった。 「祐人ー、おはよー」 弥生が後ろから大きな声で呼びかけると、副島祐人は歩みを止めて、弥生を振り返った。 「何か用?」 小走りで隣に並んできた弥生に、祐人は表情を変えずに尋ねた。 「用ってわけじゃないけど、祐人と一緒に学校に行こうかなぁって思って」 弥生は祐人の前を歩き、それを追うように祐人も歩き出した。
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