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「まったく、賢也の奴め」
祐人は愚痴を零しながら、校舎から少し離れた場所にある剣道場に向かった。
剣道場には誰もおらず、静まり返っていた。
祐人は荷物を更衣室に置いて、剣道着に着替えた。
静寂のみが包む剣道場に、風を斬る音が響く。
一心不乱に打ち込みを行う祐人は、激しく動いているにも関わらず、周りの静寂と一体化していて、不思議な空間を作り出していた。
祐人以外の剣道部員が朝練を行わない理由は、これにあった。
祐人が作り出す空間を誰も侵すことが出来ない。
その結果、誰も朝練に来れないのだ。
また放課後の部活動は、祐人がその空間を作り出さないため、部活が成立している。
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