ある舞台で…

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ある舞台で…

「はい!今日は、たくさんのお客様に来ていただきまして、  ありがとうございますね!わたしたち、  カネ持田と、カネ持代と申します。  どうぞ、よろしくおねがいしまーすっ!」 「持代ちゃんも、あいさつしてよ、いっつも、  ほとんどしゃべんないでしょ。そんなんやったら、  漫才にならへんやろ?」 「あたし、一億円、当ったの!ほんとうに当ったのよ!」 「いや、持代ちゃん?あいさつもせんと、  いきなりなにゆーとんのん?  ほんで、打ち合わせにないこと、いわれてもやな…」 「言わせてもらうわ!それでね、あたし、車、買ったんよ!」 「持代ちゃん?あんた、免許、持っとらへんやろ?」 「持田が運転するに決まってんだろ!」 「それ!決まっとんのかい!人の事情、察しろや!」 「そんなこと関係ないやん。あんた、無理やり…」 「おいおいおいおい!ちょっと待てや!あることないこと、  こんなとこで、ゆーなや!」 「まぁ、ええわ」 「ええんかい!ほったらかしか、で?」 「それとね、一戸建て買ったの!建売だけど、  気に入ったのが、あったんよ!」 「ほぉ、それってどんな?」 「んーと、これくらいの?」 「それ、犬小屋やろが!」 「いいえ、猫のゲージよ」 「…まぁ、ええわ。ほんでって、猫、飼っとんのん?」 「それはこれからよ」 「先に猫、買ってからで、ええんちゃうのん?」 「あたしって、なんでも形から入る人やから、ええねん」 「ま、それでええけど。ほんで?」 「犬を買ったの!」 「ほな、犬小屋でええやないか!」 「そのゲージが気に入ったから、それでええねん」 「まーええけど、ほかになんか買ったん?」 「もちろん宝石に決まってるやん!これ見てっ!これっ!」 「ほぉー、でっかい宝石やなぁー、いくらしてん?」 「一千万よ!」 「…盗られんよーに、注意しーや」 「これを武器に、ええ男、漁り捲くんねん!」 「それはええ武器やわな。引っ掛かったやつ、おんのん?」 「………」 「オレかい!引っ掛かってないわ!  まぁ、ええ男、ゆーてもうたから、それで、ええねんけど」 「あたし、目ぇ悪いやん」 「ほっとけや!ほんで、ほかには?」 「やっぱり、こういう時って、贅沢するもんだよね!」 「なんで、標準語で、しゃべっとんねん、で?」 「宝くじ、ぎょうさん、こうてん」 「それはわかるよな、また当ったら、さらに大金持っちゃ!」
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