第1章

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 それは、表の選手と、実際に走る選手が異なっているせいであった。表の選手は、あたかも自分が選手であるとPRし、客に掛けて貰う。その賭け金の一部と、賞金が入手できる。しかし、裏の選手は、表の選手に雇われただけだった。勝てば、次も呼んで貰える、それだけのことだった。  何故、そうなったのか。観客は、怪我人など見たくないのだ。実際に走る選手は、常に怪我だらけであった。 「仕組みを直した方がいいね」  時宗は、資料を見ながら指摘していた。でも、カジノを支配する一族は、儲かればどうでもいいという面が強かった。 「今回は、その依頼で行くのではないからね…」   カジノの一族を、敵に回す気はない。  政宗は、フォールという競技に使う道具の確認をしていた。かなり単純な造りで、これにフェイクゴーストが発生するとは考え難かった。  しかし、チューブは試合毎に移動し、組み替えられコースの形状を変える。このチューブは、試合の映像を見ると怪しかった。  試合の途中で、ブレている。微かに動いて選手の邪魔をしていた。 「どちらかというと、意図的だな」  カジノに八百長や不正は、御法度であった。それならば、政宗にもどうにかできそうであった。  でも、まず知ることであった。  惑星フォールに到着すると、虎森丸を居住区とされる場所に移動した。居住区には、様々な宇宙船が停泊していた。巨大なもの、豪華なもの、これ飛べるのか?と不思議になるものもあった。  どの宇宙船にも、子供がいるようで、近くの公園は賑わっていた。ショーも多く開催され、それは子供も入場可能になっていた。 「時宗、見たいショーを決めておけ。予約を取るよ」  時宗は、何かのデータを調べていた。 「まず、父ちゃんはユカラの仕事を片付けないとね。それから、今日の夜は、フォールを見に行く。個室を予約しておく」  時宗の方が、すっかり詳しくなっていた。 「…はい、仕事、行ってきます」  政宗は、茶屋町と虎森丸を出た。しかし、入国の際に、政宗の左目が問題になった。公正なカジノの運営のため、機械化された人間は入場を断るというのだ。 「左目、だけですから」  政宗は、機械の左目を外すと、生体型の目に変更した。  生体型でも、様々な機能が入ってしまっていたのだが、それは問題なしで通してくれた。 「良かった」
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