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藤永はストーリー作成のシャーペンを置いてニヤニヤしていた。
『あたしが美和ちゃんにバスローブに着替えさせたって?だからあの夜に着ていた服を取りに来たって?』『はい、迷惑かけちゃってごめんなさい』
『あー…使える、使えるわぁ。ネームこれでいこうかしら(笑)』
『藤永さん?三角目になってますけど?私何か変な事…』
『言ってないわ、寝ちゃってたから知らない事よね。あたし服持って帰ってないわよ』
『えっ…』
あの夜にあの服を着て会ってるのは藤永さん、成瀬さん…松本さん…。
松本さん…ーー!
そういえばあの朝藤永さんは【バスローブ隣で着たの?サイズひととうり揃ってるもんね】って…
聞き返す前、朝食に降りる為に慌ただしく用意を始めていたからウヤムヤになっちゃってた。
その後は打ち合わせで緊張のあまり忘れちゃってたんだ。
バスローブ…私無意識に服を脱いで着替えたのかな?あんまりよく覚えてない…
『どうしたの?気になる?』
『迷惑かけちゃってたんだって思うと同時に、無意識に服を脱いで着替えたのかな?って。
けど記憶になくて』
『迷惑?むしろ喜んでるんじゃないの?(笑)』
『藤永さん教えてください、何か知ってますよね?』『あら~覚えてないんだ。残念~っ(笑)きっと哀しむわぁ』
『藤永さ~ん』
『あの服かわいかったもんね、松本さんに買ってもらったの?』
『買ってもらったっていうか、出かける前に渡してくれたの。
【出かける事もあるだろうから1着余分に持っていなさい】って松本さんが』
『そういえばあの朝午前中2人で迎えにきたわね。
2人きりじゃないにしろ、2日間一緒に居られるってのに朝早くからもう美和ちゃんに会いに行って服を渡したんだ。
松本さんも甲斐甲斐しいわね、うらやましい』
『松本さんは…』
《前の日に家に泊まった》っていう事が照れくさく美和は続けられなかった。
白に黒3㍉のストライプ模様に赤いリボンがあちこちにある生地。
セーラー服みたいな襟に、胸の前で揺れる小さなリボン。
ウエストにギャザーが派手にあり、膝丈いくほどフワリとやわらかな広がりのスカート。
【似合うと思うのよ】
って渡してくれたの。
あの服は今何処に…?
せっかく松本さんがくれたのに私なくしちゃったの…?
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