1異常の見えるメガネ

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朝、セットした通りの時間に鳴る電子音で目が覚めた。 学校についたらホームルームまでは友達と話をして時間がくれば席に座って授業を受ける。 授業も終わり、家に帰って漫画を読んでいると、 ピロリーン。 メールの着信音が鳴った。 件名:おめでとうございます! 本文:おめでとうございます!    今回、抽選に当選したアナタには    弊社が新しく開発した    『異常が見えるメガネ』    をプレゼントいたします! 迷惑メールかとも思ったが、不思議なことに特定のサイトに誘導するURLどころか、個人情報を入力させるフォームもなかった。ただ普通にテキストのみの文章を知らない相手から受信しただけだった。携帯電話をベッドに放り投げて漫画の続きを読んでいると、 ピンポーン。 呼び鈴が鳴った。 両親は共働きで夜までいない。玄関まで行くと、どうやら宅急便のようだった。差し出された紙に自分の名字を記入して荷物を受け取った。 部屋に戻って受け取ったものを見てみた。受取人は僕の名前になっていた。差出人のところは破けていて分からない。 箱の中には真っ白い小さなケース。メガネが1つ。 ピロリーン。 携帯電話が鳴った。 件名:如何でしょうか? 本文:『異常の見えるメガネ』    は受け取って頂けたでしょうか?    使い方は簡単、    『かけるだけ』    でございます。    ぜひ、  お    た    めし  あ      れ。 『異常の見えるメガネ』? なんだそりゃ。 かけてみたけど度は入ってないみたいだし。特に何かが変わるわけでもない。もう一度ケースにしまって漫画の続きを読むことにした。 ……やっぱり気になるから今日一日くらいかけてみようかな。 改めてメガネかけてみると掛け心地は悪くない、うん。色も黒くてかっこいいし、形も結構好きだし。タダでちょっとおしゃれなメガネをもらったと思えばラッキーなだけで済む話か。 そう思うことにした。 夜、お母さんと二人でご飯を食べていると、 ただいまー。 お父さんが帰ってきた。 おかえり。 と振り向くと、そこにいたのはお父さんではなく 『真っ白な人型の何か』だった。 驚いて立ち上がった拍子にメガネが少しずれた。その目線の先には普通のお父さんが立っていた。 もう一度メガネをかけると、お父さんは白く染まった。 このメガネで見えたものは確かに異常だった。
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