第1章

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 ……自分が知っているサクラとまるで違う。そもそもサクラが電話してくるなど…… <冷徹で子供らしくない、高貴で高圧な態度を崩さない> それがアレックスの中にあるサクラ像だが、こんなに無邪気で子供っぽい口調だと、本当に本人かどうか疑わざるをえない。しかしサクラの特徴ある声は、確かにアレックスの記憶の中と同じだった。紛れもなく本人だ。 「今、№24と繋がった。で? 何を知りたいのだ」 アレックスは飲んでいたコーヒーを置き、ラックトップ画面を見つめた。ここはFBI本部に設けた特別対策室ではなくアレックスのオフィスだ。サクラとの通話は他の捜査官に知られても構わないが、セシルのことはまずい。だからアレックスは一度特別対策室から出て、すぐ近くにある自分のオフィスに入った。 サクラの要求は、全体の捜査状況と各位の全体の動き、核兵器を略奪しにきた一団の情報だった。つまり今起きている事全てだ。なぜセシルだけではなくアレックスなのかは、上級捜査官の中でサクラが個人的に接触が出来、かつ核兵器について知っている人間が、もうアレックスしかいなかったからだ。ユージはもう潜入してしまい、コールはサクラの超能力の事やJOLJUの丸秘アイテムのことなど知らない上に、自分たちが手に入れてしまったことを言ってしまうわけには行かない。(もう手元にはないが)セシルは極秘に島のほうを重点にサポートしている身なので潜入作戦のほうの情報まではアクセスできない。結局、セシル、コール側双方と連帯していて、サクラや飛鳥の特別な事情を知っているのはアレックスしかいなかった。サクラもアレックスのことを毛嫌いしてこれまで直接コンタクトを取らずセシルを間に入れたり飛鳥に連絡を取らせたりしたが、もう今はそんな事を言っている場合ではなかった。 『あたしのほうの情報も渡すから! そっちの情報もヨロシク! セシルのほうもまとめてヨロシクっ!』 こうして三者の間で確認できた事実は以下の通りだ。
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