0人が本棚に入れています
本棚に追加
31/クライマックス、直前3
日本/<ニンジャホーム> 午前10時11分
水素爆弾の解体に成功したとき、セシルの仕事の山場は過ぎた…… そう思っていた。
だが、サクラから「無事解体完了」と連絡を受けてから約3分後、涼からゴードンのPCが突然異常な状態になったと連絡があり、急ぎゴードンのPCに入り込み、自分のパソコンと同期させた。
ゴードンのPCは、モニターに大きくプログラムの窓が開き、凄まじい勢いで意味不明の数字とアルファベットが乱れ飛んでいる。
「高遠さん。セシルです。今パソコンは操作していませんね?」
『はい。全く触っていません』
「こっちで操作してみます。しばらく待ってください」
……暗号ブログラムと暗号アルゴニズム……見た事のないヘッダー……
NSAの特殊コード……? でも、見覚えがない。……改良が加えられたオリジナルのコード……!?
セシルは情報専門諜報員で、大体の秘密コードは分かっていたつもりだが、これは見たことがない。プログラムを止める事は簡単にできそうだが、止めていいものか悪いものかは分からない。
時間がない。一先ずデーターの時間を遡りJOLJUのスーパー・コンピューターを暗号解析に使った。結果はすぐだ。そして、その結果を見たセシルは一瞬言葉を失った。
核爆弾の情報が外部に発信され、さらにこの後<ニンジャホーム>に持ち込まれるであろう事がすでに予定の中に入っているのだ。それだけではない、NSAゴードン=フライシストの本当の正体が判明した。
ゴードンは、村田と接触していたのだ。この事件の最中に!
「ゴースト・ボムの……暗号アルゴリズム……!」
思わずセシルは唸った。この情報は核爆弾が何者かの手に落ちたとき、初めて起動するようになっていて、元データーはゴードンのPCではなくネット上に巧妙に隠されていた、特殊なプログラムだ。
もし、サクラたちが核兵器について気付かなければ、彼は<核兵器の監視者>としてNSAの仕事を道に外れることなく黙って続ける。だが、もし核兵器が動くことがあればゴードンは任務も祖国も捨て、村田と連帯する……それが彼の正体だったのだ。彼がサクラと涼を助けたのも、NSAとしてではなく自分自身のためだった。
最初のコメントを投稿しよう!