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「この期になってまだゲームに拘るのか?」
「いけませんか? 僕はこのゲームを考えるのに膨大な時間を費やした。そして些かな報酬もある。捜査官が興味を引くように特別教えますが、ファイナル・ゲームでは例のウイルスを賭けます。……これを聞けば、少しはファイナル・ゲームをやりたくなったでしょ?」
「やりたくはないよ。それよりそのウイルスを持って投降しろ。免責取引できるようにする」
「人がいいな、捜査官は。ま、考えておきましょう。では僕の話を続けますよ。ロマエノフたちはこの島でのゲームを見ていました。つまり僕たちのことはよく知っているわけです。ロマエノフもボルトロスキーも僕がゲームを最後までやりたいということは知っています。だから障害①は僕たち。で、障害②は捜査官。障害③がサクラ君。ただし、ここで彼らも一つのジレンマに陥る。サクラ君のことです。あの子の養父はクロベ捜査官。そしてエダ=ファーロングさんは今ウチのボスと会談中…… あの子を殺すのはまずい。障害①、②は殺してもフォローできるが障害③だけは別ですよね? だから、できればサクラ君と取引をしたい。取引で穏便に済ませたい。そこで裏世界でもっとも基本的な交渉方法を選ぶでしょう」
「人質を取る……」
「さすが捜査官です。一番人質の効果があるのは、貴方や飛鳥君、高遠さんですが、それは無理がある。それでは次に狙われるのは?」
「……他の生存者、か……」
「僕でもその手を使いますからね」
「現に使ってきただろう」
村田はそこまで話し、立ち止まった。
「片山さんたちは今、大人しくしていますが<新・煉獄>は逃げ場のない袋小路。<死神>レベルの戦闘力なら篭城もいいでしょうが、プロの傭兵相手に全員守れますか? 僕たちが手を出さないという条件があれば、彼らを避難させるプランを持っていますがどうです?」
「気に入らないな」
「何が、です?」
「お前の提案を純粋に受け取るには、俺たちは血を流しすぎた」
「参ったな。そこまでないですか。僕への信頼は」
村田は相変わらない様子で苦笑してみせた。村田にとっては拓の冷たい対応は計算内なのだろう。拓を責めるでも不快がるでもなく、すぐに次の提案に入った。
「そりゃあすぐに休戦とはいかないでしょう。僕から二つ、提案させて頂きましょう。一つは、ファイナルゲームのスタートは30分ほど遅らせましょう」
「…………」
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