プロローグ・ザボーダーライン

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──────────俺はただただ、その鋼鉄の魔物を駆る荒々しい彼女に憧れていた。 潜航するシェル部隊。 哨戒機から索敵した高性能ブイの情報からは、敵のメガロ級は、反響定位能力を有する個体種の群という情報を得ていた。 要は海中内の可視光線を無効化し有視界下を妨害しても、彼ら独自の周波数の超音波が”眼”になる。 となれば、打つ手は遠距離から撃ち込むスモーク弾と同時に他にもう一つ必要となってくる。 『シェルド15部隊、シェルド25部隊はアンチソナースモーク魚雷、シェルド20部隊拡散ダーツ魚雷、各機セット及び配置用意…撃てッ!!』 群の進行速度と計算に入れたレンの指示はコールサインと共に、 遠距離に配置していた後衛部隊から発射される特殊魚雷。 メガロ級クラーケ群体に対して、予め双方側面から挟む形で配置したランチャー装備仕様のシェル部隊が群に挟撃する形で発射した魚雷は、メガロ級に着弾と同時に内包する煙幕液を噴き出すが、同時にメガロ級の放つ反響定位を妨害する為の超音波発生器が内蔵されており、反響定位が無効になる。 更に中央に待ち構えていたシェル部隊は拡散ダーツ弾魚雷を発射し、 着弾後に流線状の水中銃弾が、 メガロ級の群の進行方向を進んでいた先頭の個体はひとたまりもない奇襲に遭遇する。 無論ここまでが全て 群の統率能力を崩す為の”撹乱”であり、首尾は上々の様子だった。
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