プロローグ

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どこの世界にも戦争はあるようで、彼が10歳の時に第五次魔人戦争が起こった。 人類の敵にあたる魔族が人類側に攻め入って来たのだ。 幼くも魔法の腕が一流な彼もこの戦争に参加していた。 彼はその卓越した魔法を使い、ある時は相手の魔法を打ち消し、ある時は味方に治癒魔法を施し、ある時は強大な魔法で魔族が従える魔獣を一掃した。 この戦争において彼は大きな戦果を挙げたと言えるだろう。 彼の父親である王は、息子の戦果を受けて“魔術師”という魔法を扱う者にとっては最高位の称号を授けた。 この戦争をなんとか乗りきり、魔族を撤退させることに成功した人々は、 彼は、小さき英雄であると称えた。 それと同時に恐怖し、敬遠した。 彼が人類に反旗を翻したらどうなるのだろう…と。 そんなあるかどうかも分からない妄執に囚われ、人々は彼から離れていく。 彼はまた孤独になった。
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