第1章 目覚め

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「……ここは、どこ…?」 目覚めると、ボクは知らない部屋で倒れていた。 戦争中の時は野営なんてよくあったから慣れてるけど、体が少し痛い。 それにしても、ここはどこだろう… 狭いとも広いとも言いがたいこの空間に出入口はない。 もしかして、兄様達の仕業かな? 兄様逹はボクを排除したいみたいだし… いや、兄様達がそんなことしたら姉様が気づいて殴り飛ばしてるな しかも、よく見ればこの空間はボクが見たことも無いような素材で構築されている。 「彼の者を切り刻むは不可視の刃“エアスラッシュ”」 ズガンッ!! 「傷一つなし…か」 中級魔法を放っても傷一つない壁…どうやら本当にボクの知らない素材で出来てるみたいだね。 しかし、困ったな… 見たところこの空間は完全な密室だから空気の量に限りがある。 兄様逹の妨害をかわし、戦争で勝利を手に入れたと思ったら最後にこれか… まぁ、兄様逹の妨害で死ぬのも戦争で死ぬのもここで酸欠で死ぬのも、同じ死なんだけどね。 はぁ、死が目の前にあるというのに冷静な自分に呆れてしまう。 ―何故、死を前にそんなに冷静でいられる!?― ―貴様は死が怖くないのか!?― ― ……貴様は、壊れている― はい、そうなのかもしれませんね。兄様。
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