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「では、パソコンの操作方法と、実際に電話を掛ける練習をしましょう」
真弓はそう言って、皆川を窓際の一番奥の机に座らせ、自分は椅子を持ってきて後ろに座った。
「まず、電話機にヘッドマイクを取り付けて下さい。そう、電話機の裏側にある受話器のコネクターを外して、ヘッドマイクを接続します。それからパソコンに自分のIDを入れて立ち上げます。画面が出たら、契約者の契約内容が見れる画面と、架電用の画面を出して下さい。ほら、こうすると二画面並べて見ることが出来ますよね。皆川さんの担当は契約番号が三百番から四百番まで、私、森下は三千番から三千五百番までといったように担当が割り振られますから、その人達に支払って貰うよう電話するんです」
「なるほど」
「マウスカーソルを名前の上に乗せてクリックすると、契約者の名前や住所なんかの情報が出てきます。自宅、職場って横に電話マークがあるでしょう。そのマークをクリックすると自動的に電話が掛かるようになってます」
「へえ、すごいですねえ」
皆川は感嘆の声をあげた。
「楽ですよね。自分で番号を押さなくても掛かるし、掛け間違える心配もないですし。それで電話が終了したら、その話した内容を一行打ち込みます。例えば、2/10架電。明日入金みずほBKとか。本人不在、明日AM本人CBとか。ああ、これは明日午前中に契約者がコールバックするって事を確約したという意味です」
「へえ、すごい」
「すぐ慣れますよ。架電履歴を入力すると、皆川って名前が入ります。なので、引継ぎしなくても履歴を見れば、誰と何を話したか分かるんです。架電するだけでなく、契約者から受電する時もあるので、誰が読んでも分かるように端的にメモを残して下さいね」
真弓はボールペンの尻で画面を指しながら説明した。
「分かりました」
皆川は真剣な顔で聞いている。
「教えることはこのぐらいです。あとは、電話をして入金日を確約するだけの仕事なので、ひたすら電話します。歩合ではありませんが、発信履歴が数えられているので、あまり電話の本数が少ないと、小林センター長に注意されるので気をつけて下さいね」
「はい」
「じゃあ、何件か掛けてみて下さい。私、ここで見てますんで」
「よろしくお願いします」
皆川はぺこりと頭を下げた。
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