小田原 2

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 一通りの話を訊き終えて、公平は大きく息を吐いた。有朋を見ると目を閉じて微動だにしない。榎並は冷めたコーヒーを啜った。 「架電システムが変更できないって。それじゃ、藤村由乃のアリバイを決定的にしたってこと?」 「結果、そうなるね」 榎並の返答に、公平は腕組みして唸った。 「じゃあ、藤村さんは本当に自殺したのか…」  公平は眉根を寄せた。しかし、どうして自殺なんかしたのだろう。動機は…。じっと思案する公平に聞きなれた幼馴染の声が言った。 「藤村さんは自殺じゃないよ、公平」  有朋はそう言って椅子を揺らした。 「自殺じゃないって、お前」 「それは、殺人ということですか」  公平と榎並が同時に有朋に訊ねる。 「ええ。藤村末吉は毒殺されたのです」  有朋は無表情のまま、二人を交互に見た。 「どうやって?」 「有朋、お前がそう断言するからには、全部分かったってことだよな」  公平が念を押す。 「ああ。これで間違いないと思う」  有朋は頷いた。
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