0人が本棚に入れています
本棚に追加
一通りの話を訊き終えて、公平は大きく息を吐いた。有朋を見ると目を閉じて微動だにしない。榎並は冷めたコーヒーを啜った。
「架電システムが変更できないって。それじゃ、藤村由乃のアリバイを決定的にしたってこと?」
「結果、そうなるね」
榎並の返答に、公平は腕組みして唸った。
「じゃあ、藤村さんは本当に自殺したのか…」
公平は眉根を寄せた。しかし、どうして自殺なんかしたのだろう。動機は…。じっと思案する公平に聞きなれた幼馴染の声が言った。
「藤村さんは自殺じゃないよ、公平」
有朋はそう言って椅子を揺らした。
「自殺じゃないって、お前」
「それは、殺人ということですか」
公平と榎並が同時に有朋に訊ねる。
「ええ。藤村末吉は毒殺されたのです」
有朋は無表情のまま、二人を交互に見た。
「どうやって?」
「有朋、お前がそう断言するからには、全部分かったってことだよな」
公平が念を押す。
「ああ。これで間違いないと思う」
有朋は頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!