運命の歯車

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そのとき、電話が鳴った。 もちろん、電話に出る気はない。どうせ、嫌な内容でしかない。 あれ、電話線を抜いたはず。 もう嫌だ、幻聴まで聞こえるようになってしまった。電話など鳴ってはいない。 溜め息しか出てこない。 家にいなければいいとは思うのだが、外出することも怖い。 それでも、ずっと家にいるわけにもいかない。仕事をしなくては生活が出来ないのだから。 周りの目も気にかかる。一億円を手に入れたと思われていそうで、近所の人の目も怖い。 すべての元凶は、そうこの子がいるせいなんじゃ。 一億円を手にしているのではないかという疑惑の目を向けられているのは、この子がいるせいなんじゃないのか。 そうよ、この子がいなければ……。 ああ、なんてことを考えているの。そんなのダメ。大事な我が子を見捨てるなんてダメ。 出来るわけがないじゃない。 もう頭が狂ってきてしまっている。どうしたらいい、どうしたら……。 けど、すぐにまた悪魔のささやきが耳をつく。
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