運命の歯車

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二ヶ月経ち、三ヶ月経ち。 精神的にも限界が近づいてくる。 一億円をすでに手にしている人がいるのではないだろうか。 うちにはないことは確かだ。 みんなわかって、お願いだから。ここには何もない。 だから、うちをターゲットから外してほしい。 何度か空き巣に入られたこともある。もちろん、金目のものなんてない。 この子と二人でギリギリの生活をしているのに、みんな放っておいて。 一億円なんかないんだから。 鏡を見ると、どんどんやつれて頬がこけてしまっている自分がそこにいる。 嫌な顔。おばあさんみたいになってしまった。 こんな家には周りの人たちも一億円はきていないと理解してくれているだろうか。 試しに、電話線も繋げて携帯電話の電源も入れてみる。 電話は静かに所定の位置に鎮座している。携帯電話も問題なさそうだ。たまに迷惑メールはくるものの、一億円とは関係がない。大丈夫そうだ。 しばらく様子をみていたが、不審な電話もメールも完全になくなった。 周りの目もなんとなく心配そうな目に映る。私の気持ちの持ちようなのかもしれないけど、このやつれ具合を見て心配してくれているのかもしれない。 もとの生活に戻ってくる感じがしてきた。 大丈夫、そうよ、大丈夫。 この子とふたりでのんびり楽しく生活していられたら何もいらない。 今のギリギリの生活だって幸せだって感じられる。 この子の笑顔がなによりのご馳走だ。大丈夫、大丈夫。
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