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「神殺しの槍は魔法的強者である統一政府を殺すためのもの」
ブォン!! と光の塊を突き刺したまま『槍』を振り回す黄昏虚。その軌跡についていくように、魔力の塊が宙を舞う。
「『魔法を支配する魔法』。神のルールをぶっ殺す力よ!!」
槍に突き刺した魔力の塊を東雲幻水が押しとどめている光の渦へと叩き込む。純粋な力と力が激突し、莫大な光を撒き散らす。レーザービーム同士をぶつけ合ったように弾け飛ぶ。
「覚悟はいい?」
槍の穂先を突きつける。
虚空魔法の使い手であるノア=オリーブは元より、この場に集った反乱勢力の主要人物全員へ宣告する。
「私の友達に手を出す奴は皆殺しにしてやるから」
『魔法を支配する魔法』。
魔法使いの優位性を殺す槍を手に。
反乱勢力でも屈指の組織を率いていた女王が場を席巻する。
ーーー☆ーーー
漆黒と純白が弾ける。
真なる女王と純白の少女が最短距離で激突する。
それは閃光を纏った拳であった。
申し合わせたように同質の攻撃方法であった。
そして、拳と拳が激突し、反発し、弾かれるように互いに吹き飛ばされる。ガリガリガリ!! と地面を削るように足を踏みしめ、数十メートルもの距離が離れる。
とはいえ、この程度は彼女たちにとっては近距離でしかない。一歩踏み出せば詰められる程度の間合いでしかない。
「『聞いていた通り』じゃねーか。此方と同じ領域に立つかよ、純白ちゃん」
「?」
「だからこそ、おもしれー」
漆黒が溢れる。
世界が闇に染まる。
真なる女王の足元を起点に発生した黒き力場が姫川楓の足元まで到達し、そのまま数十メートルほど突き進み、上空へと伸びる。巨大な立方体を形作り、クイーンと姫川楓を閉じ込める。
「五感なんて此方たちには不要だろう?」
五感を封じる結界魔法。
一面に広がる闇は視覚は元より聴覚、味覚、触覚、嗅覚を遮断する。己が内に人間を閉じ込める。敵対者だけでなく術者にさえも影響を及ぼす黒き牢獄。
だというのに。
そのはずなのに。
次の瞬間にはクイーンと姫川は正確に互いを認識した上で激突していた。閃光を纏いし必殺の拳をぶつけ合う。
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