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『調査報告書』。
三つの犯罪組織を中心に形成されていたトライアングルネットワークの崩壊に関連したと推測される純白について。
トライアングルネットワークとは一つの国に収まらず、世界をくまなく覆い尽くす犯罪ネットワークである。これまでも殲滅を試みてきたが、捉えられるのは末端のみ。中核に位置する組織の全貌さえも解明されていなかった。
そんなトライアングルネットワークの『存在自体が』消失した。彼女らの存在していたという情報が世界から抹消された。記録からも記憶からもトライアングルネットワークの情報は消えつつある。この報告書だって、私の記憶だって、いずれは消え去るのだろう。
それでもこの報告書を読んだ誰かが真相を失わずに済むと信じて記していこうと思う。
この消失現象の発端はトライアングルネットワークの末端組織『オーガメイト』が優れた魔法使いの収穫に失敗したことだ。『純白の女の子』を収穫するために彼女の両親を殺害した。それが『オーガメイト』の失敗だったろう。
怒り狂った『純白の女の子』の魔法で収穫に参加していた『オーガメイト』の構成員は消失した。それだけでなく、他の『オーガメイト』構成員は元よりトライアングルネットワーク全体の構成員が消失した(※あくまで把握している組織のすべてが消失したことによる仮説ではあるが)。
『純白の女の子』の力は危険である。
記録や記録にさえ干渉する抹消能力。最低でも絶対女王に並ぶ魔法の使い手。そんな怪物が存在するという情報が消え去る。危険性が認識されない。
どうか。
破滅へ続く情報が世界に残ることを。
誰かが食い止めてくれることを祈る。
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