第十六章 破滅へ導く救いの手

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ーーー☆ーーー ───まったく。子供ってのは世話がやけるものみたいね。ふふ、楓ってばあんなものを秘めていたなんて。 ───笑っている場合じゃないだろうが。おめえの『魂魄封入』で死後の余生を確保できたが、いつまでも保つもんじゃねえぞ、これ。 ───昔はこの魔法使うときは死後もあなたとイチャイチャして消えるものと思っていたんだけど、こういうのも悪くないわね。うん、子供に何かを残すなんて最高じゃない。 ───ガキにとっちゃ俺らが生きていることが一番なんだろうがなぁ。 ───それ言う? 言っちゃう? これでも気にしまくっているんですけど? 大丈夫かな、楓。昨日も友達ができないって泣いちゃってたし……。 ───大丈夫大丈夫。あいつは俺たちの子供だ。時代錯誤なくらい優しい性質を持っている。そんな奴の周りには自ずと善性を持った奴らが集まるものだって。 ───楓え……っ!! ───それよりあれどうすんだ? 怒りの感情が一定以上噴出した結果ああなったってことは、トリガーの一つが怒りだってことだ。怒りの感情なんて抑えようとして抑えられるもんでもねえだろ。 ───その辺は、ほら、感情の起伏を抑えてやればいいのよ。魂魄に、こう、ちょちょいと魔法を仕込んでやれば……はいっと! ───はぁ。そういうのを平然とやれるのが今時の女だよなぁ。 ───なにさなにさっ。それじゃあなたは力を暴走させるのがいいっていうの!? 悲しむのはあの子なのよ! まったく、先に仕掛けてきたのはあっちなんだから因果応報だって割り切ればいいのにさ。私たちの子供ながら優しすぎよ。 ───何はともあれあの力に関しては封じられたって考えていいんだな? ───楓が私の魔法を振り切るほどの怒りを噴出させない限りね。あの子今でも滅茶苦茶強いから、いつか力づくで破りそうなものだけど。 ───チッ。あいつがあんなものを背負っているというのにくたばるとか情けねえにも程がある。 ───あの子が暴走した時。きちんと止めてくれる人がいればいいんだけど……。
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