第十六章 破滅へ導く救いの手

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ーーー☆ーーー 鮮血姫城……の跡地。 『効果範囲』に含まれたが故に消失した座標とは離れた地点。『アトランティス』内部の東部。引き裂かれた巨大テーマパークの片割れに位置する観覧車の一つに彼女たちは収まっていた。 東雲幻水に黄昏虚。 鮮血姫城と共に消失していたはずの魔法使いたちが。 「ふん。お前さんか」 彼女たちの向かい側に座っているのはセーラー服を纏う女性だった。二十代ほどの女性は頭にかぶった帽子のつばを掴み、位置を調整するように動かしていた。 無敵魔導艦隊艦長。 ロザリア=バードビーク。 第零騎士団団長が姫川楓に紹介した統一政府所属の怪物の一人。その繋がりで東雲幻水とも顔見知りであった。 「やあやあ。危ないところだったねえ、脳筋くん」 「ふん。あんなの俺様の魔法でぶっ潰せたっての」 「本気で言ってる、それ?」 「チッ」 「『あれ』が敵さんの切り札なのか、第三勢力かは分からないけどさ。『あれ』を撃破するにはそれなりの数と力が必要なのよ」 つーわけで、と無敵魔導艦隊を統べる艦長は明るく元気にこう言った。 「力を貸せよ、脳筋くんに妄執くん。そのために助けてやったんだしさ」 「相変わらずムカつく女だ」 「返事は?」 「馬鹿か、お前さん」 ズズ……ッ!! と空間が軋んだかと思った時にはもう遅かった。轟音を響かせ観覧車が内側から吹き飛ぶ。重力力場が全方位に撒き散らされ───ぐにゅりと周囲の空間を歪ませて、全方位より解放された数千もの魔法と激突した。 「虚空魔法……ということは!?」 「うつろの予想通りだろうなぁ。あの野郎異空間にでも避難してたんだろうよ!!」 全方位から圧搾するように迫る莫大な光の塊は重力力場で抑えられるものではなかった。不可視の力を破った光が迫り来る。
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