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「あの、ユウさん。これは偶然ですか?」
立つユウの傍でルドアはしゃがみながら聞く。
「なにが?」
「運良く私達は電車の上に乗れたんでしょうか?」
「さあな」
ユウは片手に持つ折れた剣を腰の鞘に戻した。
「ユウさんは“カイノス”ですよね?」
「だったらなんだ?」
「いいんですか、カイノスではない私を助けて。同じカイノスから襲われますよ?」
心配そうにルドアはするが、ユウは不安げな表情をしていない。
「別に構わない。死んでもいい」
「それは駄目です!!」
ルドアは立ち上がり、ユウの手を両手で掴んだ。
「死んでは駄目です。もしもの時は逃げてください」
「……わかった」
呆れた顔をするユウをルドアは安心し、笑顔を向けた。
だが、すぐに悲し気な表情をし下に向く。
「すみません……すみません……。すぐに泣くのをやめますから……」
泣いているルドアに気をつかって、ユウは遠くの景色をじっと見ていた。
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