第2章

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金髪で容姿が整った20代後半の第三使徒が優しく微笑みながら言う。 「必要です。あなた方もご存知の通り、社会では旧人類は肩を狭くして過ごしています。私達の見えない場所で新人類の悪事を守る為に監視を設けるんです」 「よく言う。見えないとこでお前らの同種の事件を消してるくせに」 少女の隣に座る男性はイラついた表情で相手に聞こえないよう呟いた。 万引きや強盗、殺人等の旧人類が被害を負った場合、ある程度の事は新人類に非が無いように隠蔽される。もちろん大人がこの様に旧人類の前で態度を大きくすれば子供達も真似をし、旧人類が受ける虐めは当たり前になり、解決される事なく日々我慢する日が続いている。 この問題を終わらせる為に、皆が平等で平和である為に遠くから来たのに使徒達は聞き入れない。彼らは今の現状に満足をしているのだ。 この会議は無駄だと悟った三人は太股の上に置いた両手でズボンを強く握り絞めた。 ここで反論してしまいたいが、今いる場所は新人類の本拠地。下手な事は言えず、三人は黙って握り絞める両手を睨むしかできなかった。 「他に意見が無いのなら、今日はこれで会議は終わりにしよう。次回は三ヶ月後でよろしいかな?」 「……はい、問題ありません」 「では、またお願いします。お疲れ様でした」 第三使徒がそう言って話し合いは終わった。 少女達は先に部屋を出て廊下を歩くと仲間の男性は少女の隣であるく女性に話しかけた。 「いつまでこの無駄な話し合いは続くんだ」 「何十年も続くでしょうね」 「それまでに、どれだけの仲間が消えるのか……いつか俺達も……」 「ちょっと!」 男ですよ葉に女性が言葉を遮る様に言い、二人の間で歩く少女は二人に笑顔を向けた。 「大丈夫です。私が母の分まで頑張ってみんなを笑顔にします!」
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