収奪

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「もう俺も分かんねーよ。優しさって何?どうしたら重くない優しさになる訳?」 半ばヤケクソにビールを一気する。 「頼むから酔うなよ。お前酔うとめんどくせーから」 来たビールを手に、草太は嫌そうに言った。 …ホントこう言うとこも、見た目と全然違うよな。 「まぁさ。女はその3人だけじゃねーんだから。次の女にいっちゃいなよ?お前の今までの女って、ふわふわお嬢様ぁって感じだからさ。違うジャンルの女にいってみたら?クールなお姉様とかさ」 「クールなお姉様ぁ?」 眉を寄せながら草太に訊く。 「そっ。クールなお姉様タイプって、そこまで干渉もないし、結構楽だしな」 経験豊富差を自慢するように、草太はニヤリと笑った。 …そうは言うけど。 俺、クールなお姉様タイプって苦手なんだよなぁ…。 冷たい?って言うか、気の強い感じはどうも……。 俺はビールを一口飲んで、机の上に顔を乗せた。 「……考えとくよ」 今は違う女のことも考えられない。 しかしその言葉は草太には、前向きの言葉だと思ったらしく。 「何なら紹介してやろーか?何人か心当たりいるし。それよか、バイト先のイケメン君にでも紹介してもらえよ?」 …バイト先のイケメン君? あぁ。孝二のことか。確かにあいつもイケメンだから、女の知り合いも多いだろうな。 「……しばらく女はいい。もう疲れた」 机の上で項垂れると、「はぁ?」と草太の声がした。 「お前辛気臭い。酒がまずくなるだろ?パーッと飲めよ!」 …話聞いてやるから来いって言ったの誰だよ? 飲んだら飲んだで、酔うなとか言うし…。 ホント、理不尽だ。
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