92人が本棚に入れています
本棚に追加
/489ページ
「もう俺も分かんねーよ。優しさって何?どうしたら重くない優しさになる訳?」
半ばヤケクソにビールを一気する。
「頼むから酔うなよ。お前酔うとめんどくせーから」
来たビールを手に、草太は嫌そうに言った。
…ホントこう言うとこも、見た目と全然違うよな。
「まぁさ。女はその3人だけじゃねーんだから。次の女にいっちゃいなよ?お前の今までの女って、ふわふわお嬢様ぁって感じだからさ。違うジャンルの女にいってみたら?クールなお姉様とかさ」
「クールなお姉様ぁ?」
眉を寄せながら草太に訊く。
「そっ。クールなお姉様タイプって、そこまで干渉もないし、結構楽だしな」
経験豊富差を自慢するように、草太はニヤリと笑った。
…そうは言うけど。
俺、クールなお姉様タイプって苦手なんだよなぁ…。
冷たい?って言うか、気の強い感じはどうも……。
俺はビールを一口飲んで、机の上に顔を乗せた。
「……考えとくよ」
今は違う女のことも考えられない。
しかしその言葉は草太には、前向きの言葉だと思ったらしく。
「何なら紹介してやろーか?何人か心当たりいるし。それよか、バイト先のイケメン君にでも紹介してもらえよ?」
…バイト先のイケメン君?
あぁ。孝二のことか。確かにあいつもイケメンだから、女の知り合いも多いだろうな。
「……しばらく女はいい。もう疲れた」
机の上で項垂れると、「はぁ?」と草太の声がした。
「お前辛気臭い。酒がまずくなるだろ?パーッと飲めよ!」
…話聞いてやるから来いって言ったの誰だよ?
飲んだら飲んだで、酔うなとか言うし…。
ホント、理不尽だ。
最初のコメントを投稿しよう!