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「やっとこの砂漠状態にオアシスが現れるなぁ。どんな子だろうな?」
やって来る子を想像しながら、楽しそうに話す有岡。
「またどーでもいい女だったら、どうするよ?」
「いや、それがさ。結構美人系の女らしいよ。川上が面接の時に、ちょこーっと見たんだってさ」
「へぇー」
その言葉に俺の中でも期待感が上がる。
──が。つい最近彼女と別れたばかりの俺は、それまでの感情だった。
言ってもまだ俺、傷心中。
『重い優しさ』の意味が分かっていない。
それでも入って来る女が美人なら、それはそれでいい。
男ってそんなもん。
「ちょっと楽しみになってきたなー。って、黒岩も彼女いるから、あんま関係なかったか」
有岡がはははと、苦笑した。
「わりぃな」と俺を見た有岡は、ぎょっと驚いた顔になる。
俺を見る顔が引きつり、一歩後ろにたじろぐ。
「ありおかぁぁぁ」
デカイ体に似合わず、目をウルウルさせて、俺は有岡を見つめていた。
─これが草太のような男が目を潤ませたら、子犬のように可愛いのだろう。
だが俺みたいな体のゴツイ奴が目を潤ませても、気持ち悪いと言うものだ。
例えるなら。ヒグマが目をウルウルさせてる感じだ。
──うん。
有岡が引いてしまうのも当然だ。
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