収奪

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「ん?何?」 「黒岩さぁ、明日暇?」 「明日?」 訊かれて、明日のスケジュールを思い出していく。 …特には何もなかったよな。 明日は大学が5限まであるから、バイトは休みだし。 誰かと何かの約束もした覚えはないし…。 「特に何もないから、空いてるけど?」 「じゃあさ、明日空けといて。飲み会しよーぜー」 孝二がニヤッと笑う。 俺達遅番の男のメンバーは、全員が同い年ってこともあって。 バイト以外で5人で遊ぶことがあった。 その中でもダントツに、飲み会が多かった。 牧原が酒好きって言うことと。バイトの閉店時間の都合で、どうしても飲み会になってしまった。 「分かった。空けとくよ」 でも俺も酒は好きなので、ふたつ返事で答える。 …それに酒の力で、失恋のモヤモヤを吹き飛ばしたい思いもあった。 「明日俺と有岡と、川上はシフト入ってるからさ。牧原と先に飲んでてもいいし」 「また牧原と連絡しとくわ」 「おぅ。頼むわ」 孝二はそう言って、嬉しそうに笑っている。 「そう言えばさ。話変わるんだけど」 「ん?」 「新しい女の子、もう見た?」 何となく気になって訊いてみた。 俺は大学の授業の関係で、そこまでバイトには入れなかった。 でも孝二はそこそこ毎日入ってるから、新しい子をもう見ているかも知れない。 見ていたなら、どんな子なのか? 興味からそれが知りたくて、孝二に尋ねてみた。
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