収奪

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「あぁ、美羽ちゃんのこと?それなら見たよ」 孝二がサラッと答える。 …って言うか。 もう「美羽ちゃん」て、下の名前で呼んでる訳? 早くない?孝二、それ早くない? 孝二が下の名前で呼ぶってことは…。その新しい子は、フレンドリーな子なのか? 同じ女である中村達のことは、下の名前で呼んでないし…。 むしろ興味ないって感じだし。 そう考えると「美羽ちゃん」と言う子は、親しみやすい子なのか。よっぽど可愛い子なのか。 きっとどっちかだな。 それにしても…。 そうやってすぐに下の名前で呼べれるのは、すごいと思う。 普通親しくなってない子に、すぐ名前で呼ぶのには抵抗がある。 ましてや相手が女なら尚更。 それを簡単にやって退ける孝二のスキルは羨ましい。 ……あ、でも孝二はイケメンと言う武器があるから。大抵の女は、気を許してしまうのか。 ──やっぱり羨ましい限りだ。 ぐるぐると思考を巡らせた後。また気になるので、訊いてみる。 「へぇ~、どんな感じの子?」 「んー…。クールな、お姉さんって感じ?」 孝二が目線を上に上げて言った。 ───クールな、お姉さんタイプだと…? 出たよ出たよ。噂のそのタイプ。 それを聞いた瞬間がっかりしてしまい、若干興味が薄れてしまう。 …俺、そのタイプ苦手なんだって。
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