収奪

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別れを告げられるのは、いつも向こうからだった。 ひとり目の彼女も、ふたり目の彼女も。 そしてさっき別れを告げた3人目の彼女も──。 『優しさが重いの……』 優しさが重いって何だよ…。 皮肉が怒りに変わり、ギリッと奥歯を噛み締める。 彼女のことが好きだから、優しくするのは当然だろ? 買い物に付き合ってた時。荷物を持ってあげたら優しいね、って言ってただろ? 欲しいって言ってた物を、バイトしてお金を貯めてプレゼントしたら、すげー喜んでたよな? ふたりで遊園地にデートした時。すごく楽しいって笑ってたよな? 何処が間違いだった?何処を間違えた? 間違ってたら教えてくれよ…。ここがダメだって。 そしたら俺、直すからさ……。 『─透(とおる)君。大好きだよっ』 俺に微笑んで、俺に向けられた愛の言葉。 それが彼女の映像と共に、ガラガラと崩れていく。 「それにしても…暑いなぁ…」 ギラギラ照りつける太陽に、ポロリと不満が口から出る。 …考えてても仕方ない。 仮にやり直したいと。話をしに行っても、今までの経験上取り合ってもらえないのも分かっている。 もう…別れたんだ。 「……3講目。始まるな」 時計を見てリュックを背負い、ゆっくりとベンチから立ち上がった。
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